新書「昭和陸海軍の失敗」

「文藝春秋」で行われた座談会を再録したもの。人物を取り上げながら、第一部では陸軍、第二部では海軍を論じている。
秦郁彦先生が、WW2後の米国では山本五十六の方がニミッツマッカーサーよりも武将としての人気が高いとおっしゃっている*1。どういう層の人気なのかわからないが、五十六という人は国の内外を問わず魅力的な人物なのでしょう。
こっちも秦先生がおっしゃっているが「統帥権干犯」という言葉は北一輝が作ったそうだ*2。思想家として有名な北にはこういうインパクトのある言葉を作る才能もあったんですな。

何か別の本で読んだが、明治生まれの陸軍軍人は、士官学校の期から出生年がだいたい推測できる。士官学校X期なら明治X年生まれという事が多いからだ。例えば18期の山下奉文は明治18年生まれであるし、東條英機は17期の明治17年生まれである。当然、士官学校に入る年齢は一定ではないので(何度も落ちた人もいたはず)、1〜3年くらいは誤差はあるでしょうが、参考にはできるかと。
今村均明治19年生、陸士19期)がとても興味深い軍人であるということが確認できた。彼の回顧録にあった気がするが授業中に居眠りしないために唐辛子を噛んだというようなエピソードもあるが、ジャワでの軍政はあの大宅壮一に絶賛されたくらいなので当時の日本軍の中では評価できるものだろう。

*1:p188

*2:p142