新書「松下政経塾とは何か」
- 作者: 出井康博
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/11
- メディア: 新書
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・印象深かったのは中田宏横浜市長の話。高秀秀信氏が初めて横浜市長選に出た時、中田は選挙スタッフとして手伝ったそうだ。その後高秀は食事を提供したり、衆院選出馬時の便宜を図ったりして、中田をかわいがっていたみたいである。しかし、高秀が再選を目指し立候補したところ、中田は突如として対立候補の側に回った。結局は高秀が再選するのだが、中田は涙ながらに許しを請うたそうだ。その後、中田は02年横浜市長選への立候補を完全に否定しながら、高秀に協力を求めていた。だが、中田は市長選に出馬し、高秀に果たし状まで持って行って、当選した。高秀は落選後5ヶ月で世を去るのだが、「松下幸之助が政経塾をつくったのは、ああいう人物を生み出すためだったのか*1」と漏らしていたらしい。
上昇志向が強いというのは政治家に付き物だと思いますし、秘書が議員の対立候補となるように、政界の一寸先は闇だというのは理解できる。しかし、お世話になった人を裏切って踏み台にしたりするのは人情としては肯んじない。もっとも選挙民にとっては政治の結果が一番であり、候補者のそんな事情は関係ないとも思う。中田市長には是非とも頑張ってほしい。
政経塾出身議員をまとめた新党をという話があるが、この本の他のエピソードを読めばまあ無理やなと感じます。
*1:p134