「首相支配―日本政治の変貌」という新書

首相支配-日本政治の変貌 (中公新書)

首相支配-日本政治の変貌 (中公新書)

細川政権の発足によって55年体制は崩壊した。本書によると、その後、選挙制度改革や中央省庁再編などが行われた1994年から2001年までを「成立」期、小泉政権が誕生してから郵政解散までの2001年から2005年までを「定着」期とする2001年体制という政治体制が生まれた。この体制の特徴は1自民と民主の2大政党の競争と参院での法案成否の鍵を握る公明党の影響力2首相の地位の維持獲得の条件は世論の支持であり、派閥の支持は重要でない3首相の権力は首相や総裁としての権限による。派閥の領袖としての実力は関係なくなった、などである。

読みやすく書かれている反面、タイトルの首相支配の「支配」ってのが何なのかよくわからなかった*1ように、議論が精緻でないところがある気がした。

自民党公明党と連立を組んでいて、多くの選挙区で自民党の候補者は公明党から支援を受けている。彼らからの支援がなければ落選する候補者が少なからずいるのだから、公明党の影響力は無視できない。いくら党総裁への権力集中がなっても、自民党議員にとって死活的な選挙協力を提供する公明党の存在は自民党総裁の権力を縛るのではないか。現に定額給付金と言う不人気政策は公明党の要請であったというのだから、公明党の力はかなりあるといってもいい気がする。

*1:p242に「首相はほかの政治家や政治組織に対し、非常に強い地位を獲得」という記述があるが、これでは抽象的だと思う